膠(にかわ)


ピアノ運送用語集

膠とは

膠とは、ピアノを作る際に接着剤として用いられる伝統的な素材の事を言います。主に動物の骨や皮、腱といった部分から作るもので、木材と一体化して強力な接着力を発揮します。古くから接着剤として広く用いられてきたもので、特に木材加工では重要な役割を果たして来ました。ピアノに限らず楽器全般、特に音質を追及した高級楽器には必ずと言ってよいほど使われるものであり、元となる動物によってその特徴は異なります。

ピアノ職人や楽器職人は、独自生成した膠を利用している事もあり、この接着具合1つで音が大きく変わる事もある重要な材料です。通常は接着状態を見る事はできませんが、ピアノの音色を影ながら支えている立役者と呼んでもよい存在と言えるでしょう。

この伝統的な接着剤は古代エジプトに起源を持つと言われ、日本でも10世紀の資料に「煮皮」の名で登場しているように古くから製造され、利用されてきました。面白い利用法として、絵画の顔料を溶かす溶剤としても用いられてきました。有名なモナリザの下地にも利用されているように、これが無ければ人類の工芸や芸術は今ほど発展していなかったとも言えます。ピアノに詳しい方でも意外とこの存在を知らないものですが、ピアノの工房では、ピアノ作りと言えばこの接着剤の匂いと言えるほど、身近なものです。

お役立ち情報

膠の接着力は極めて強力です。一定の手順を経た後で、50度から60度の熱を与えなければ液状化も発生しない為、基本的に運送時の妨げになる事はありません。ただし、ピアノのトラブルでありがちなハンマー膠切れについては、事前チェックしておく事をおすすめします。

ハンマー膠切れはピアノで最も発生しやすいトラブルの1つです。ハンマーを接着してある膠が、打鍵の際に少しずつ影響を受けて、最終的に剥がれてしまう現象を言います。この状態になるとピアノは打鍵の度に異音が鳴り、酷い場合は接着が完全に剥がれて、打鍵しても音が出ない状態になるでしょう。ピアノを弾き慣れている方でも、こうしたトラブルが起きる事は意外と知らないものです。たまたまハンマー膠切れのピアノを運送した場合は、運送後に異音が鳴る、あるいは音が鳴らなくなったというトラブルに繋がる可能性があるでしょう。この為、ピアノを運送する前には、必ずこうしたトラブルチェックを事前に行う事が大切になります。なぜなら万が一、運送後のピアノに何らかの異変が生じた場合、その原因がピアノの経年劣化によるものなのか、運送中の不備によるものなのかが、はっきり分別できるからです。

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